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プロ音楽家による感想 [東京・稲城市民オペラ【椿姫こうもりカルメン愛妙】]

久々のオペラ観賞 ~ 稲城市民オペラ旗揚げ公演 ヴェルディ《椿姫》
http://blog.goo.ne.jp/johannsebastianbach_1971/e/a67a0f38258c9c82fb2539ae7274ce24?st=0
共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~


どうやら2階席の右側からカーテンコールの写真を撮った人物です。
他に辛口な記事もある中で、非常に詳細かつ好意的な内容です。
大学時代の馬場先生との出会いや、うら若き真澄さんの様子まで書かれています。
稲城オペラHPに掲載いかがでしょうか?
(できれば他のアンケート回答も掲載希望!)

当該ブログ筆者にコメント欄にて、僕のブログへの転載許可を申し込みました。

(以下、転載です。)


カーテンコール.jpg

 

今日は久しぶりにオペラを観賞すべく、東京都稲城市に行きました。

今日はここで、私が昭和音楽大学在学中に声楽科にいらして、現在は藤原歌劇団等で演出家として御活躍中の一期先輩(稲城市在住)が発起人としてスタートした『稲城市民オペラ』の旗揚げ公演が催されました。記念すべき発足第一回目の演目は、イタリアオペラの巨匠ヴェルディの大作《椿姫》です。今日の公演は『稲城市民オペラ』代表者でもある先輩が演出を手がけ、後輩でもある奥様がプリマドンナを務められました。

学生時代、私はあまり弦楽器科の学生と折り合いが良くなくて、むしろ管楽器科や声楽科に友達が沢山いました。そんな中で当時声楽科にいらした先輩とは仲良くして頂いていて、学園祭の時には私が所属していた弦楽合奏サークルと先輩がいらしたカンマーコールという合唱団と合同でモーツァルトの《レクイエム》やヴィヴァルディの《グローリア》といった作品を共演させて頂いたり、先輩とロビーにチェンバロを引っぱり出して御一緒にロビーコンサートをしたり、先輩がもう一つ所属しておられたオペラ研究会というサークルの公演で私がカメラマンをしたりと、様々な交流がありました。そこに後の奥様も後輩として加わって大変楽しい学生生活を送ることができたことは、私にとって本当に有り難いことでした。

そうやって仲良くして頂いていたという経緯もあって、私は個人的に奥様の20代の頃の可愛らしい歌声というものを記憶しています。その彼女が《椿姫》のプリマドンナを務めるということに、最初は驚きました。でも考えてみれば、あれから年月が経ち、その間に様々な経験を積まれて、ソプラノ歌手として円熟期を迎えた今ヴィオレッタという大役に挑戦できるというのは、正に千載一遇のチャンスだったでしょう。そう考えると合点がいきました。

今回は全席自由でチケットは完売しているということでしたので、よりいい席を取るために開場前から観客の長蛇の列が出来ることが予想されました。実際に私が開場50分前に会場に到着した段階で、既に30人ほどの先客がいました。それでも『よしよし、まだこんなモンか…』と思いながら列に並んで待っているとどんどん人が増えてきて、開場前には本当に長蛇の列になっていました。これだけ千客万来であれば、旗揚げ公演としては万々歳です。

開場してプログラムを受け取ってから入場すると、既に席取り合戦が始まっていました。私はどこに座ろうかな…と思っていたら、ホールの両翼にバルコニーのようなところがあり、そこが折りたたみ椅子の補助観覧席になっていたので、その一番先端の舞台際の席に陣取ってちょっとした桟敷席気分を味わうことにしました。

市民オペラらしく、舞台には最低限の椅子とテーブルだけが用意され、後は暗幕で空間を区切るシンプルな舞台でしたが、奥の壁にボールルームの描き割りがあることによって舞台に奥行きを感じることができました。こういった工夫は、さすがプロの演出家の見せ方です。前奏曲に続いて華やかな夜会のシーンが始まると、色とりどりのドレスに身を包んだ合唱団が高らかな笑い声と共に舞台袖や客席入口からなだれ込んできて、一気にパリ社交界の世界観が広がります。少ない動きの中でも一人一人がちゃんとお芝居をしていて、ぎこちなさのようなものは感じずに楽しめました。

病をおしながら社交界の花として君臨するヴィオレッタ…夜明けと共に招待客が三々五々去って行った後、ヴィオレッタが一人残されて歌う名アリア『ああそは彼の人か~花から花へ』では、時にしっとりと、時に軽やかに歌い上げ、心の揺れ動きを表現してくれます。最後のハイE♭もバッチリきめて、万雷の拍手を浴びていましたが、その力強さには正直驚きました。勿論力強いばかりではなく、第3幕の名アリア『さらば過ぎし日々よ』では死期の迫ったヴィオレッタの悲哀を余すところなく伝えてくれました。やはり20代のお嬢さんの時の声とは比べ物にならない厚みと表現の幅と迫力に、重ねて来られた精進がにじみ出ます。

アルフレードという役どころはテノールの中でも難しい方で、いわゆるヴァーグナーのヒーローを歌うようなヘルデンテノールだと暑苦しいし、だからといってキャラクターテノールみたいな人が出てくると薄っぺらくなり過ぎるきらいがあります。今日のアルフレードは軽めの声の方で、どちらかというとガストーネとかをやりそうな感じにも聞こえました。でも要所要所をきちんと歌う方で、それでいてお芝居もきちんとして下さるので安心して聞いていられました。ジェルモン父さんは、歌っておいでの方の実年齢が若いようでちょっと深みに欠けましたが、それで第2幕の『天使のような娘を』や『プロヴァンスの海と大地を』では切々とした歌を丁寧に聞かせてくれました。他のキャストや合唱も、第1幕の『乾杯の歌』前後や第2幕第2場の仮面舞踏会の時にコミカルに、公衆の面前でアルフレードがヴィオレッタを蹂躙する場面では迫力をもって演じていて、これがいわゆる市民オペラだということを一瞬忘れるくらいに楽しむことができました。

オーケストラ…といっても今回はピアノ伴奏を中心にして、そこにヴァイオリン、クラリネット、ファゴットが各1台ずつ入った合計4台の楽器のみでの演奏でした。それでも、通常オペラ公演の練習で使われるピアノリダクションの楽譜の要所要所に3台の楽器が入っただけで、こんなに『オケ』として成立するものなんだということを認識させられました。

欲をいうなら、オケボックス内のスペースの都合だと思われますが、今回使われていたピアノがグランドピアノではなく箱型のアップライトピアノを使っていたのです。ただ、グランドピアノが上に音が立ち上っていくところをアップライトピアノという楽器は音が箱の裏側に抜けていくという特徴があるので、舞台上のキャストにはよく聞こえたのでしょうが客席の方にはあまり音が届かず、たまに音が消えてしまったかのようになってしまった部分があったのが残念でした。あと、ピアノという楽器はどうしても減衰音なので、本来オーケストラの音が伸びているはずのところが無音になってしまうところもちょっと気になりました。次回公演の際には、状況が許せばグランドピアノの使用と、ハルモニウムのような電気的でない持続音のする鍵盤を入れられるといいかも知れません。

私はオペラ公演なんて、いつが最後だったのか思い出せないくらい出ていません。かつてはいくつものオペラ公演のオケに参加していて、《椿姫》なんて暗譜するくらい弾いていた(ヴェルディ中期のオペラのヴィオラパートはやることがほぼワンパターンなので覚えやすかった)のですが、それも今は昔…。でも、今日こうして生のオペラ公演を鑑賞していていて、改めて自分がどれだけオペラが好きなのかを再認識させられた思いです。いつかまたどこかでオペラのオケボックスに沈んでみたいなと、改めて思いました。

今日は稲城市民オペラの代表者である先輩のこだわりが随所に光った、とてもいい舞台を堪能させて頂きました。また折に触れてオペラが観たくなりました。


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